選・和菓子職「優秀和菓子職」
認定のご挨拶

この度、2018年度の全国和菓子協会の選・和菓子職にて、若女将であり菓子職人でもある中宮千里が「優秀和菓子職」の認定をいただきました。優秀和菓子職とは、職人個人にとっては勲章ともいうべき栄誉であると同時に、和菓子業界の担い手である証ともいえる責任あるものです。これもひとえに森八をご愛顧いただいておりますお客様のおかげと、深くお礼申し上げます。

選・和菓子職については こちら(全国和菓子協会ウェブサイト)

上生菓子製作中写真

多くの方々に支えられた挑戦

今回挑戦することを決めたきっかけは、製菓学校の恩師の助手を務めた時に「そろそろ挑戦してもいいのではないか」と言っていただいたことです。和菓子職人としての成長を認めていただいたようで、とても光栄に思いました。
しかし、私は短縮勤務のため、はじめは周囲に迷惑をかけてしまうのではないかと思い、あまり前向きには考えられずにいました。そんな中、家族や職人たちが協力を申し出てくれ、時間が限られている中でも精一杯の挑戦をすることができました。今回「優秀和菓子職」の認定をいただけたことで、まわりの人々への感謝を伝えられて嬉しく思います。

上生菓子製作中写真

求められる和菓子の違い

私が普段作っている上生菓子は、技術は尽くしても見た目は一歩引いたもの、あくまで茶会を引き立てる存在です。しかし、今回の選考会では、一つひとつの菓子それぞれが主役となるように手技や思いを込めることが求められます。はじめはその違いにとても戸惑いました。
しかし、その差を埋め、超えるヒントは毎日の仕事の中にありました。一歩引くということにとらわれすぎているなと思ったのです。表現方法がどうであれ「いま、求められているもの」を的確に感じ取り、その求めに応じた菓子を作るという精神は同じだと気づきました。それに気づけたのも、日頃からお客様に鍛えていただいていたからです。

上生菓子写真

自分を育ててくれた、
森八の気風

優秀和菓子職認定後は、社内の職人たちから質問攻めにあいました。「他の職人が作っていたあの菓子はどんな風だったか」「他の地域との交流でどんなものを得たか」など、詰め寄る勢いで聞かれて大変でした。森八の職人は向上心が高く、学ぶことに対して貪欲であることを改めて気づくことができました。伝統の味を守るのはもちろんですが、新しいものをどんどん取り入れていこうという雰囲気が森八にはあります。年齢もキャリアも関係なく、自分の技術や知識は惜しみなく周囲に教え、知らないことは素直に尋ねる。職人歴数十年のベテランが製菓学校を卒業したばかりの新人に色々質問する姿も珍しくありません。
私は、社内の職人としては中堅です。だからこそ、周囲の協力がなければ、今回の認定はいただけませんでした。私一人がいただいたものではなく、森八がいただいたのだと思っています。

上生菓子製作中写真

私だからできる、
時代に合った森八を

現在の女将、つまり母は、もともととても社交的な性格です。森八の広告塔のような役割を自ら担い、今の森八をもり立ててきました。それは母だからこそできることだと思っています。
今回、優秀和菓子職というすばらしい認定をいただけたことで、職人であり次期女将という、私だからできるスタイルがあると思っています。お客様や仕事仲間、多くの方に支えていただいていることを忘れずに、今の時代にあった森八を模索していきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。